ケンシロウのせい

これは僕が日本に来てまだ一年も経っていない時代の出来事でございます。

当時僕は英語版の北斗の拳、「Fist of the North Star」をDVDで観ていて、かなりはまっていました。マンガが原作であって、世界的にも著名なあの北斗の拳を、最初はただ面白くて観ていたのですが、来日が決まってからは、やはり日本語取得を目的として観ることにもなりましたね。音声は日本語だったので、英語の字幕を読みながら、一人でモゴモゴしゃべりながら真似をしていましたよ。同じDVDを何回か繰り返し観ていたら、いつの間にか短い文章は覚えられ、色々無意識に聞き取れるようになっていました。

そしてある日の夜、当時僕が勤めていた英会話スクールで、1人の生徒さんが「先生、今日もレッスンありがとうございました、もし良かったら今からみんなで居酒屋に行きませんか?」と誘ってくれました。まだ新しい職場で、これから日本でみんなと仲良くして行きたかった僕は、喜んで応じました。そのクラスとみんなとは、スクール外で話すのも初めてだったし、みんなすごくいい人ばかりだったので飲み会は凄く楽しかったわけです。

話が盛り上がっている最中、突然生徒さんみんなの歳が気になった僕は、北斗の拳DVDで磨いた日本語を実際に喋ってみる絶好のチャンスが来た!と思いました。それで「ところで皆さんはおいくつですか?」と聞くつもりで、僕は必死に覚えた北斗の拳からの表現を思い出しました! そして間違いないと、正々堂々と、しかも酒の力も借りた大声で、みんなに向かって次のように叫びました!

「ところで、貴様らはみんななんさい?」

そのとき、一斉に僕へ向かったみんなの表情を、決して僕は一生忘れません。

これはケンシロウのせいです。だって、ケンシロウがアニメ上良く言っていた「貴様」を、こういう時に限っては、相手を立てる表現ではないことを、僕は知りませんでした。だってケンシロウが「貴様」と言う度に、英語の字幕が「you」だったからです。。。。

2 COMMENTS

ka-s

日本語で「貴様」を英語ではなんて言うのか気になりますね!

返信する

Comments댓글コメント