「また始まった……」
朝でも夜でも、上の階から突然「ドン」という重い衝撃音が響いてきます。家具を引きずるような音、子供の足音、突然の振動、配管からのゴボゴボ音まで聞こえてきます。
僕は新築分譲マンションに入居してから、6年以上にわたり上階騒音に苦しみ続けています。管理会社へ何度も相談し、記録や録音も続けてきました。管理組合にも状況を説明しましたが、問題はほとんど改善されませんでした。
この記事は、現在も続いているマンション騒音問題の実体験記録です。施工会社であり管理会社でもある某大手「H社」にも繰り返し相談を行いましたが、一般的な貼り紙での注意喚起に留まるだけで、状況が大きく変わることはありませんでした。
同じように苦しんでいる方の参考になればと思い、これまでの経緯を書き残します。
1. 入居当初は大きな問題ではなかった
2019年に入居した当初、上階から浴室配管の水音のようなものは聞こえていました。ただ、新築マンションだったこともあり、「集合住宅なら多少は仕方ないのかもしれない」と考えていました。
実際、この時点では生活に支障が出るほどではなく、自分自身も深刻には受け止めていませんでした。
- 新築だった
- 最初は軽微
- 「こんなものかな」と思っていた
2. 徐々に増えていった上階からの衝撃音
しかし、入居からしばらくすると、「ドン」という衝撃音や、床を引きずるような音、振動を伴う足音が増えていきました。特に2020年頃からは、単なる生活音とは思えないレベルの日もあり、夜間に突然大きな音で目が覚めることもありました。
上階の子どもの成長とともに、騒音はさらに激しくなっていった印象があります。
- 深夜の衝撃音
- 振動を伴う足音
- 引きずるような音
- 突発的な大きな音
- 徐々に増える頻度
集合住宅で暮らしたことがある人なら、何となく想像できるかもしれません。
3. 管理会社への相談開始
最初に管理室へ相談したのは2019年です。ただ、対応は基本的に「貼り紙」のみでした。
その後も何度も相談を続けましたが、
- 掲示による注意
- 全体向けの呼びかけ
- 「当事者間で解決してください」という説明
が繰り返され、個別対応が行われることはほとんどありませんでした。
こちらとしては感情的に騒ぎたいわけではなく、まずは穏便に改善してほしいという気持ちでした。
4. 管理組合にも相談したが改善せず
管理会社だけでは改善しなかったため、管理組合側にも相談を行いました。
しかし、
- 「理事長は休暇中」
- 「騒音問題は当事者間で解決すべき」
- 掲示のみの対応
- 個別注意なし
という回答が続き、長期間問題が放置される形となりました。
また、エレベーター付近から発生する騒音についても複数住民が苦情を出していましたが、原因特定には至らず、「発生源不明」という扱いで終了してしまいました。
5. 録音・記録を続けるようになった
途中からは、「口頭で説明するだけでは残らない」と感じ、録音や騒音記録を残すようになりました。
- スマートフォンでの録音
- 発生時間のメモ
- 騒音日誌
- 警察への相談履歴
- 管理会社とのメール保存
気付けば、「今日は静かに眠れるだろうか」を毎日考える生活になっていました。
特に睡眠への影響や精神的疲労は大きく、家にいるのに落ち着けない感覚が続いていました。
騒音問題が長期化すると、被害者側の感覚も少しずつ変わっていきます。以前は気にならなかった小さな物音にも敏感になり、「また始まるのではないか」と無意識に身構えるようになりました。
特に厄介なのは、騒音が“いつ来るか分からない”ことです。

6. 「家なのに休めない」状態へ
本来、家は休む場所のはずです。しかし、次第に「いつ音が来るのか」を常に警戒するようになりました。特に深夜帯の衝撃音は精神的負担が大きく、2026年には睡眠障害のような状態にもなりました。
休日でも完全に気が休まらず、上階の帰宅時間や浴室使用時間まで意識してしまうようになっていました。
一番つらかったのは、「逃げ場がない」という感覚でした。仕事や外出中はまだ気が紛れます。しかし、自宅へ帰った瞬間に「今日は静かだろうか」と考えてしまう生活は、想像以上に精神を消耗させます。
本来、安心するための場所であるはずの家が、少しずつ“警戒する場所”に変わっていきました。これは実際に経験してみないと、なかなか分からない感覚かもしれません。
7. なぜマンション騒音問題は解決しにくいのか
実際に感じたのは、マンション騒音問題は「音そのもの」だけではなく、複数の問題が重なって長期化しやすいということです。
- 管理会社の対応限界
- 証拠主義
- 理事会の消極姿勢
- 加害側が自覚しないケース
- 分譲マンション特有の難しさ
そもそも、日本におけるマンション文化そのものが、欧米と比べればまだ歴史の浅いものだと思います。
しかし現在では、多くの人が薄い壁や床を挟んで生活しているにもかかわらず、被害者側を強く保護し、加害側に確実な改善を求められるような制度は、現実にはまだ十分とは言えません。
もちろん一定の法律や判例は存在します。ただ、実際には「受忍限度」という曖昧な基準の中で処理されることが多く、被害者側が長期間証拠を集め続けなければならないケースが少なくありません。
結果として、騒音を止めるまでに非常に長い時間と労力が必要になってしまうのが現実だと感じています。
また、「専有部分には介入できない」という説明が繰り返される一方で、被害側は日常生活を失っていきます。さらに、被害が長期化すると、「神経質な人」という扱いを受けやすいことも、この問題を難しくしていると感じました。
現在では、ほぼ毎週のように警察へ相談し、対応を依頼している状況です。しかし、実際には注意だけで終わることが多く、状況が改善したとは言えません。
個人的には、警察側の対応もかなり慎重で、踏み込んだ注意までは行われていないように感じています。さらに感じたのは、この種の騒音問題は、被害の深刻さに対して法的なリターンが小さいという現実です。
実際、過去の判例などを見ても、長期間苦しんだケースであっても賠償額は20~30万円程度に留まることが少なくありません。そのため、被害者側にとっては時間的・精神的負担が非常に大きい一方、弁護士側としても、積極的に受任しやすい案件とは言い難いのが現実なのかもしれません。
僕自身も、相談先を探す中で、「対応は可能だが難しい案件」という反応を受けることが何度もありました。
現実には、どうしても“費用対効果”のような考え方が影響してしまう場面もあるのだと思います。
また、分譲マンション特有の難しさも感じました。賃貸であれば管理会社や大家側が比較的強く介入できるケースもありますが、分譲の場合は「専有部分」という考え方が強く、管理側も積極的対応を避ける傾向があります。
結果として、
- 被害者
- 加害者
- 管理会社
- 管理組合
の間で責任が曖昧になり、問題だけが長期化していく構造になりやすいと感じました。
8. 現在も続いていること
正直、ここまで長期化するとは最初は思っていませんでした。
最初の頃は、「少し注意してもらえれば改善するだろう」と考えていました。
しかし実際には、
- 証拠収集
- 録音
- 管理会社とのやり取り
- 警察への相談
- 書面作成
などを何年も続けることになりました。
騒音そのものだけでなく、「問題を説明し続けなければならないこと」自体も、大きな負担になっていきます。
2026年現在も、問題は完全には解決していません。現在でも警察への相談や記録保存を継続しています。そしてもう一つ感じたのは、この問題は実際に経験した人でなければ、なかなか理解されにくいということです。
外から見ると「少し音がするだけ」に見えるかもしれません。しかし、それが毎日・何年も続くことで、人の生活や精神状態は確実に削られていきます。
正直、状況は何一つ解決していません。
今でも上階からの騒音は続いており、家に帰ること自体が苦痛に感じる日もあります。
ただ、この問題には、実際に被害を受けた人にしか分からない苦しさがあります。
もし今、同じような問題で苦しんでいる方がいるなら、記録だけは残してほしいと思います。
そして、「自分だけではない」と少しでも感じてもらえたなら、この記録を書いた意味はあったのかもしれません。

